大阪府の公立高校の入試制度について教えてください!(令和5年10月更新)

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大阪府立高校の入試制度について教えてください!

「高校の入試制度が昔とは違う」「今の入試制度はよく分からない」

などと、塾内でも“昔との違い”に戸惑う親御さんの声は少なくありません。そこで今回は、令和5年度時点の大阪府の公立入試制度をご説明し、それぞれの制度に対してどのような捉え方をすべきか、具体例を交えて解説しましょう。

現在の大阪府公立入試制度について

年度ごとに毎年いくつかの修正が行われていますが、ここでは令和5年度の大阪府公立入試制度をご説明します。
知っておくべきことを挙げますと以下の4つに大分出来ます。

①内申点は絶対評価 … トップクラスの戦いが更に実力重視に…。
②チャレンジテストの実施 … 中学校でのテストが低くても挽回が可能?
③高校によって異なる問題パターン… A問題、B問題、C問題がある!
④自己申告書の導入 … 点数に表れない、高校とのマッチングを重視。

内申点は絶対評価 → トップクラスの戦いが更に実力重視に…。

 内申点の評価方法は、平成28年度から令和5年現在も、絶対評価となっています。評価は1~5の5段階です。
絶対評価とは一言で言えば「良い点数を取れば高い評価」という意味です。

当たり前のようですが平成27年度入試までは、その前に“周りと比べて”という言葉が入りました。
つまり「“周りと比べて”良い点数を取れば高い評価」でした。(相対評価といいます)。

絶対評価になったということは、例えば80点を取れば、周りで90点を取った人が多かったとしても関係無く、高い評価がもらえるようになったということです。
ではこの変化は生徒達にとってどのような意味をもつのでしょうか。以下、簡単に表にまとめました。
※かなり大まかな表現ですので、あくまで参考程度にご覧ください。

どの高校が、どの難易度の問題を選択するかについては、今年の例を一部紹介します。

絶対評価への変化は、生徒によってどんな意味を持つのか?

絶対評価への変化は、生徒によってどんな意味を持つのか?

90点~100点の生徒
相対評価では点数の高い順に、高い評価が振り分けられます。
絶対評価では“トップクラス”というまとまりに対して一律で 高い評価が与えられます。100点の生徒が85点の生徒と同じ 評価になったりするので、100点の生徒からすると絶対評価は 少し“割に合わない”と感じるかも知れません。
80点~90点の生徒
もう少しでトップ集団、という点数層です。ですが、絶対評価で5段階ということもあり、“トップクラス”扱いとなり、しっかりと高い評価がもらえます。これは嬉しい事でしょう。
60点~80点の生徒
中学校での平均点を少し上回る層です。90点以上を取る生徒が多量にいる中学校もあり、その場合は相対評価だと高い評価は期待出来ません。しかし、絶対評価になったことで、その心配は消えました。逆に言うと点数通りの評価となる訳ですから、生徒としては、言い訳が出来なくなったと言えます。
40点~60点の生徒
中学校での平均点、もしくは少し下回る層です。絶対評価で、基本的に点数通りの評価がくだることに変わりはありません。ただ、中学校により0点~40点の生徒が多数存在する場合があります。その場合は“もし相対評価ならば良い評価だったのに…”という事になるでしょう。
0点~40点の生徒
上記とほぼ同じですが、厳しい評価となることは避けられないでしょう。もし相対評価だったとして、0点~20点の層が多数いるのであれば30点台でも希望が見えますが、かなりのレアケースです。

以上のように、絶対評価となったことで、トップクラスの生徒は内申点では差が付かない為、入試本番の実力重視になりました。
また、80点未満の生徒にとっては自分の点数が評価に直結するため、言い訳が出来ない評価環境となったと言えます。

学力検査(入試本番)と内申点がどのような比率なのかは、高校によって異なります。
学力検査:内申点=「3:7」「4:6」「5:5」「6:4」「7:3」のいずれかです。
当日重視と内申点重視について

学力検査は、一科目90点満点×5科目の、450点満点です。 
内申点は、5点満点×9科目×10の、450点満点です。
タイプ別にまとめると、以下の通りです。
内申点タイプ分け

また、内申点は、1年生から入試に関係します。(平成30年度入試から変更されています)
比率は、1年生:2年生:3年生=「1:1:3」です。
内申は基本的に5点満点×9科目の45点満点ですが「1年:2年:3年」がそれぞれ、「9点満点:9点満点:27点満点」に換算され3年間の合算(9+9+27=45点満点)で入試時の内申が決まります。

 

>>公立高校受験に内申点が必要なのはなぜですか?【令和2年7月更新】

 

チャレンジテストの実施 → 中学校でのテストが低くても挽回が可能?!

 どの高校を受けるにしても、内申点は高いに越したことはありません。その中で、中学校によって定期テストの難しさにズレがあると、不公平が生じてしまいます。
それを避けるべく、「チャレンジテスト」というものがあります。

チャレンジテストとは、

「大阪府教育委員会では、公平な入試を実施するため、各中学校がつける調査書の評定について、

大阪府全体の状況に照らし適正であるかどうかを確認するために、

チャレンジテストを活用した府内統一ルールを定めています。 」(※大阪府教育委員会発表)

 

簡単に言うと、中学校の定期テストが難し過ぎるせいで、絶対評価による内申点が不当に低くなってしまわないようにする措置です。
A君とB君を例にご説明します。

今、定期テストが他中学より難しいB君が、絶対評価で損をしている状態です。
A君・B君の評価例

しかし「チャレンジテスト」の結果、『A君の内申点は3以上とせよ』、また『B君の内申点は4以上とせよ』と大阪府教育委員会からのお達しが来ました。
(B君の方が、点数が良かったのでしょう。)これにより、A君はそのまま内申「4」。B君は、晴れて内申「4」をもらえました。B君の実力が、中学校の定期テストの難しさだけに左右されず、評価されたということです。
むしろ、A君はB君と同じ内申と思って油断せず、五ツ木模試などの偏差値でしっかりと自分の位置を把握しておくべきです。

 

□チャレンジテストの概要

実施日
●中学1・2年生:令和6年1月10日

●第3学年:令和5年9月5日

内容
●中学1年生:国語・数学・英語

 中学2年生・3年生:国語・社会・数学・理科・英語

●出題形式:選択式、短答式、記述式

●時間:1教科あたり45分

 

高校によって異なる問題パターン(A問題、B問題、C問題)

科目は5教科(英・数・国・理・社)です。理科と社会は共通問題ですが、英語・数学・国語に関しては3種類の難易度(A・B・C)の中から、各高校が問題を指定します。
Aが基礎、Bが標準、Cが発展、という位置付けです。

年度によって、問題パターンが変更される場合がありますので、必ず「大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項」を確認しましょう。

例えば、寝屋川高校が、令和6年度入試から、国語と数学がBパターンからCパターンに変更されています。

 

どの高校が、どの難易度の問題を選択するかについては、令和6年度の例を一部紹介します。

 

●令和6年度入試の難易度選択

四條畷高校(五ツ木偏差値65) 国語C、数学C、英語C

寝屋川高校(五ツ木偏差値60) 国語C、数学C、英語B

牧野高校(五ツ木偏差値55) 国語B、数学B、英語B

枚方高校(五ツ木偏差値51) 国語B、数学B、英語B

香里丘高校(五ツ木偏差値49) 国語B、数学B、英語B

枚方なぎさ(五ツ木偏差値40) 国語B、数学B、英語B

門真西(五ツ木偏差値33) 国語B、数学A、英語B

野崎(五ツ木偏差値32) 国語A、数学A、英語A

 

全体としてはやはり偏差値の高い高校ほど高難易度のC問題を選び、偏差値が下がるにつれてB問題→A問題へと難易度が下がる傾向があります。

志望校を早く決めた場合は、このような入試難易度を早くから意識出来ますので、勉強計画の面でもプラスかもしれません。

 

※その他の受験のポイント・・・普通科・文理学科・英語科などが全て「一般選抜」扱いとなりますので、同じ高校内の、複数学科へ出願が可能です。
例えば普通科と英語科がある高校ならば『第一希望・英語科』『第二希望・普通科』のように出願できます。

自己申告書の導入 → 点数に表れない、高校とのマッチングを重視

自己申告書とは、大阪府の教育委員会が提示したテーマに対してあらかじめ作成し出願時に提出する、文書のことです。
「各高校が求める生徒像」を確認し、それにいかに自分がマッチしているかを意識しながら、約1400字前後で所定のフォーマットに文章を書きます。
自己申告書は、※ボーダーゾーン内の判定資料に使われます。

“…ウチの子、作文が苦手だから、1400字もかけないかも…”と、心配になるお母さんもおられるかも知れませんが、あらかじめ作成という所が安心ポイントです。
中学校でもキッチリと書き方の指導と校正をしてくれますし、「各高校が求める生徒像」(アドミッションポリシーと言います)についても、ネットで簡単に調べられます。

令和2年度大阪府公立高等学校等アドミッションポリシー(求める生徒像)並びに学力検査問題の種類並びに学力検査の成績及び調査書の評定にかける倍率のタイプ
塾でもフォローしますし、それこそ保護者様が直接アドバイス可能です。
ボーダーゾーンってなに?

上記の通り、上位90%~110%の受験者は、一旦ボーダーゾーン扱いとなります。
ボーダーゾーンに入った受験者は、「自己申告書」と内申の「中学校での活動/行動の記録」の内容がチェックされます。
そして、その高校のアドミッションポリシー(求める生徒像)と極めてマッチしている生徒は総合点に関係なく、優先的に合格となります。
※その後、定員数まで、改めて総合点の評価で合格者が決まります。
ボーダーゾーンに該当してしまうこと自体が“キケン”であり、もちろん理想は、上位90%に入ることを目指すべきです。
しかし、トップ校になってくると当日勝負の色合いが強いので、それこそ何があるかわかりません。また、キケン度が高いと解っていても、どうしても行きたい高校に挑戦するケースもあります。
ですので、万が一、ボーダーゾーンに入ってしまった時は優先的に合格を勝ち獲れるよう、自己申告書にも真剣に取り組む必要があるのです。

英語の入試問題(Cパターン)は難易度がとても高い

過去(平成28年度)までの傾向

平成29年度~令和5年度までの傾向
ヒアリング問題の比率 約20% 約33%

英作文問題の比率

約8%

約20%
1分間に読まないといけない語数 約35語 約96語
問題文 日本語と英語 全て英語
外部検定テストとの連動 なし あり

平成29年度入試以降から、令和5年現在においても、英語のC問題は過去と大きく変更されています。
変更点をまとめますと、以下のようになります。
   ①②に関しては、言葉通りの意味です。ヒアリング・ライティング(英作文)の力が、それぞれ従来よりもしっかりと試される形となります。
 ③に関しては、単純に問題の英語文章量が増加したことを意味します。かなりの増加ですので、よりスピーディかつ正確に、長い英文を読み取る力が求められます。
 ④については、それほど気にする必要はありません。その理由は後で述べます。
⑤については、一般的になじみの深い、『英検』でご説明します。
英検二級を取得していれば、入試の英語は既に80点扱いとなります。
英検準一級を取得していると、入試の英語は100点扱いとなります。

 ①②③に関してはシンプルに難易度アップと言えます。
①→「ヒアリングが長過ぎて、まったく聞き取れない」
②→「苦手な英作文を捨てて、他でカバーする、ということが出来ない」
③→「そもそも、時間が全く足りない」
という受験生の声が、来年から確実に上がってくると予想出来ます。
しかしこの変更はC問題を選択した高校においてですので、志望校によっては気にしなくてよい受験生も多いのです。
④の問題文も英語になる、という点において、気にする必要がないというのはこの部分です。
そのあたりを志望する生徒のレベルからすると、問題文が英語になることが難易度の上昇にはそれほど繋がらないと思われます。(問題文を訳さずに解けるパターンも結構あります。)
やはり、意識すべきは①②③。英語の受験勉強の仕方において、より「聞く」「書く(英作文)」「読む(スピード)」力を高めることが必須となります。

まとめ

 毎年のように、大阪府立高校の入試制度は変わります。あまりにコロコロと変わるので、いったい何を知っておくべきなのか、困っているお母さんが増えています。
 塾の立場から言えば、結局は「キチンと真面目に勉強出来るかどうか」が全てです。細かい入試制度が変わろうが、行き着くところはその部分に受験の成否はかかっています。 
ただ、どのようなことが求められるのかを明確にすることで、より効果的に頑張れるという事も事実です。
特に問題パターン(A・B・C)の難易度の違いはかなり大きいものです。受験に関する情報の中で、「…知らなかった…!」と、後悔するようなことだけは、ないようにしたいですね。受験に関することで、少しでもわからない点や、不安な点がありましたら、なんでもご相談ください。

この記事の筆者

KEC個別指導メビウスwww.mebius-kobetsu.jp

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